生活に溶け込む、「今」のための器
志賀さんは現在あさか野窯初代として、他の伝統工芸とのコラボレーションや、大堀相馬焼伝統の二重構造の応用、現代のテーブルコーディネートを意識した器など、次々と新しいことに挑戦しています。
「我々の生活にも『流行り』ってものはあるし、食事も洋食化してる。かと思えば和食だって普通に食べる。そういうのに合わせたものを作ってるだけなんだ。深い意味はないっちゃないんだよ(笑)。」
「『伝統』って何だろうね。『伝統を守る』って『古いことをそのまま引き継いでやる』みたいなことではないと思う。明治時代の生活に合わせて作られたモノが、今通用する訳がない。使おうとは思えない、ってことは売れないってこと。売れないっていうことは、食えないってこと。仕事続けられないってこと。それじゃ『守った』ことにはならないべ。
守るっていうのは『仕事を継続してやること』だけなんだ。やる中身っていうのは、その時代時代に受け入れられるモノっていうのを作っていく。今は2,3年流行ってるかもしれないけど、また来年は違うかもしれない。『変わっていく』ってことだよね。同じものをずーっと作り続けることが伝統なんじゃなくて、商売としてながーく続けていけること。それが伝統を守るってことなんじゃないかな。
だってみんな、大堀相馬焼の特徴っていうと二重構造みたいなイメージあると思うけど、あれは大堀焼の300年の歴史の中で200年目くらいに出来たものなんだ。本当にここ100年位の話。それがいつの間にか伝統になってる。じゃあその前200年の大堀焼はどうしたのって話だよ!
でも、それがその時すごく『流行って売れた』んだ。その時必要とされていた。だから俺も「今」必要とされるものを作りたいよ。」
時代に求められるものを、今使ってもらえるものを作る。
陶器で作ったビアタンブラーやワイングラス(le mompe (ル・モンペ)シリーズ)は、思わず手に取りたくなる可愛いさ。郡山の土の素朴な色合いと青やピンクの顔料で出来たモンペ柄が、現代の食卓にささやかな喜びを与えてくれます。
福島県内の工芸作家仲間と相談しながら、伝統工芸品同士のコラボレーションで新たな作品作りにも取り組んでいます。郡山の土と会津産のケヤキを使った、あさか野焼と会津漆器のコラボタンブラーは、伝統工芸品同士が重なり合い、新しい工芸作品の形を提示してくれる一品です。