ふくしまみらいチャレンジプロジェクト
 
2020.04.28

2019年度の支援事例(代表例)を
ご紹介します

2016年6月の発足以来、ふくしまみらいチャレンジプロジェクトはふくしま県相双エリアの12市町村の事業者様を対象に、福島相双復興官民合同チームと連携して、新たなビジネスの創出や販路開拓に伴う様々な支援を行ってまいりました。ここでは、支援させていただいた事業者様と私たちの昨年度の活動を振り返り、特に成果の出た事業者様の事例をご紹介いたします。


Change 1 売り物を変える
リデザイン
パッケージの統一化
NPO法人あさがお(南相馬市)


支援前の状況・課題
消費者の商品評価は高く、指名買いも含めてファンがつき始めていましたが、売り上げ増につながっていませんでした。また、メイン商品である豆乳やみそなど「青ばた豆商品」のパッケージに統一感がなく、「あさがお」の商品群として認知されていませんでした。

支援内容
既存商品・既存販路での売り上げ向上を図るために、施設利用者で、かつ商品の製造者でもあるメンバーでデザインコンペを行い、キャラクターを作りました。それを使って新しい統一パッケージデザインによるブランドの創造を進めました。一方、販売先には商品群による陳列提案を行って、「ついで買い」や「指名買い」の促進を図りました。

結果
自らの手で誕生させたキャラクターを使用したことによって、商品への愛着も高くなり、モチベーションアップにつながりました。ブランドの認知度アップへの機運も高まりました。

Change 1 売り物を変える
リパッケージ
ワンハンド商品への改良

株式会社菅野漬物食品(南相馬市)


支援前の状況・課題
既存商品の「みそ漬シリーズ」は、県内外のお土産マーケットでは着実に販路開拓が進んでいましたが、さらなる販路拡大を目指すものの、方向性が絞りきれていませんでした。

支援内容
需要が高まっている「おひとりさま」「ワンハンド」という観点での商品開発に商品特性に見合った親和性があると考え、リパッケージを行い、新たな市場を目指すことにしました。専門コンサルタントの提案に沿って既存商品「蔵醍醐 クリームチーズのみそ漬」をリパッケージし、手軽に食べられるワンハンド商品の開発に取り組みました。

結果
「スティックタイプ クリームチーズのみそ漬」として販売しました。リパッケージを行ったことで、出張先や旅先でも食べられるよう手軽な商品へ改良でき、新たな販路拡大にもつながりました。

Change 1 売り物を変える
リパッケージ
ワンハンド商品への改良
株式会社緑里(川内村)


支援前の状況・課題
えごま油は生産量が少ないこともあり、貴重な油として商品力が高い製品でした。しかし販売価格が高くなってしまうため、既存商品の売り上げが伸びていない状況でした。収穫量が限られている状況の中で、どう全体の売り上げを伸ばすのかが課題でした。

支援内容
販売現場でご意見を伺った結果、小売価格が高く手に取りにくいという声が多く聞かれました。それをヒントにミニボトル化しました。もともと115gで販売していたものを、1週間で使い切りを想定して30gで500円とリサイズしました。

結果
えごま油ミニボトルは大手スーパーなどへの新規販路の開拓を実現。消費者にも大好評を得ることができました。また廃棄していた絞りカスを活用し「えごまパウダー」を新規商品として開発・利益化させました。これにより、在庫不足で欠品となった際でも年間を通じて商品が並ぶことになり、棚落ち防止策にもなりました。

Change 1 売り物を変える
リブランディング
アワード受賞で販路拡大
株式会社鳥藤本店(富岡町)


支援前の状況・課題
「浜鶏(はまど〜り)ラーメン」は、販路開拓では既にさまざまな角度から支援を実施し、百貨店でのギフト販売やJR東日本グループ関連の販路開拓などで成果を上げていました。ラーメン大国と言われるなか、会津、中通りに比べ、浜通りにはこれといった名物がなかったので、浜通りの代表的な名物商品にしようと、さらに積極的な展開を考えていました。

支援内容
浜鶏ラーメンをよりメジャーな商品にするために、JR東日本グループの強みを生かすことになりました、JR東日本が行っているアワード「おみやげグランプリ」にエントリーしました。

結果
アワードでは見事、食品部門で銀賞を受賞。同時に、パッケージやPOPに受賞実績をアピールした販売で売り上げが向上、浜通りの代表的な商品としての一歩を踏み出すきっかけとなりました。以来販売数が伸び、駅ナカのNewDaysなど新規販路の開拓も実現できました。

Change 1 売り物を変える
新商品の開発
規格外商品の有効活用
佐久間辰一(田村市) 


支援前の状況・課題
栽培・生産で発生する規格外のパッションフルーツを冷凍していましたが、有効活用するために6次化商品の開発を目指していました。生産量の約半数が規格外で、しかも生産量が少ないので利益の出る商品設計が必要でした。

支援内容
価格からターゲットの設定、ロット数などを考えながら商品開発を進めました。パッションフルーツの生産量は天候にも左右され収穫量が安定せず、またマンパワーにも限りがあるため、商品開発と並行して地域内商社との連携や、製造が可能な委託先を探しました。

結果
パッションフルーツへの関心が高く、小ロットで加工ができる委託事業者とのマッチングが可能となり、「パッションフルーツキューブゼリー」を開発、女性に親しみやすいパッケージで商品化しました。新規に販路も獲得し、一定の利益を創出できる見込みとなり、3月に試験販売を開始しました。

Change 1 売り物を変える
新商品の開発
テーブルウエアの商品化
あさか野窯(郡山市)


支援前の状況・課題
2014年5月に避難先の郡山市で事業を再開しましたが、従来の商品群での販路開拓は難しいと感じていました。

支援内容
専門コンサルタントからの助言を得ながら、「お土産品としての大堀相馬焼ではなく、日常品使いのテーブルウエアとしての器」という新たな作風を確立し、新商品開発を行いました。また、百貨店などの催事に参加して消費者からの反応を得るなど、自らが商品改良・販路開拓に臨み、自立化に向けた取り組みを行いました。

結果
目標であった「テーブルウエア・フェスティバル2020」への独自出展を果たし、コンテストでは佳作を受賞。地域料理人との交流や販路開拓など地域に根差した食卓提案により、郡山の特産品を目指した新しい商品シリーズを展開しています。

Change 2 売り先を変える
BtoBとBtoCの両面作戦
小売商品を業務用販路へ
小高工房(南相馬市)


支援前の状況・課題
主力商品の唐辛子商品「辛油」や「小高一味」のほか、昨年度は加工食品メーカーとの提携によって新商品を販売するスキームを作り、BtoC向けの唐辛子加工商品を販売してきました。しかし自社での商品ラインアップを増やすのは販売管理や在庫リスクがあり難しいため、既存商品(小売用)での売り上げ拡大が必要でした。

支援内容
今年度はBtoBという新しい販路開拓をするため、既存商品で安定的に供給できる「辛油」をJR東日本グループの店舗で提供することにしました。

結果
JR東日本グループの飲食店運営会社とのマッチングで上野駅構内「いろり庵」で新メニュー「胡麻辛油つけそば」を開発。BtoC商品であった「辛油」をBtoBに展開することで、業務用販路の可能性が開けました。

Change 2 売り先を変える
異業種への展開
アスリート向け商品として販売
株式会社川俣町農業振興公社(川俣町)


支援前の状況・課題
既存市場だけでなく、新たな分野へのアプローチが必要と考え、販路開拓を検討していました。そこで目線を変えて「タンパク質を多く含むアスリート向け商品」に着目しましたが、この分野は高価格帯で、競合ブランドがひしめく市場であり、商談に苦戦していました。

支援内容
大型総合スポーツ専門店への提案を前提にして、既存商品である「川俣シャモジャーキー」「ササミ」のリパッケージと商品改良を行い、サンプルを作成して提案。市場にマッチする味や大きさにするために改良を繰り返して「戦う男のシャモジャーキー」を完成させました。

結果
アスリート向けサロンやセレクトショップなどでの販売が始まりました。全くの異業種であるスポーツ業界へ参入し、先方のニーズを取り入れながら新商品を開発することで新規販路を獲得し、営業スキルも向上しました。

Change 2 売り先を変える
新規販路開拓
県内セレクトショップでの販路獲得
小高ワーカーズベース(南相馬市)


支援前の状況・課題
アクセサリーのオリジナルブランド「iriser(イリゼ)」を立ち上げましたが、新規販路を開拓するためのノウハウを求めていました。

支援内容
県内のセレクトショップをターゲットにして販路開拓に取り組むために、ショーケースを活用した売り場づくりの提案やセールスシートの作成を行いました。また、地域商社との営業同行支援によりセールストークの習得に努めました。「ふくしまACTION12」のセミナーも活用しました。

結果
見積作成などの商談スキルを向上させたことによって、コラッセ福島や岩瀬書店会津店、鶴ヶ城会館での販売が決定。提案から成約までの一連の販売促進活動を自身で行うことができるようになり、さらに努力を続けています。

Change 2 売り先を変える
新規販路開拓
事業分野の選択と集中
株式会社落合工機(南相馬市)


支援前の状況・課題
昨年、売り上げの約7割を占める取引先からの受注が困難となり、新規販路の開拓に迫られました。既存取引では利幅が少なく、思うように新規取引先の開拓が進んでいませんでした。

支援内容
専門コンサルタントの指導により、事業分野の選択と集中を行ったことで、新規販路獲得に向けた意識が向上し、課題が明確になりました。主要分野をプレスから板金へシフトさせること、多品種少量生産を見据え、多能工化を図っていくことを自身で決定し、既存取引は縮小していくこととしました。また、営業ノウハウのOJT指導も行いました。

結果
コンサルタントのネットワークを活用してマッチング活動を行い、神奈川県の板金会社や茨城県の商社との商談が成立。マッチング活動を通して、自社で保有するリソース(機械、技術)や強みを可視化することができました。また生産性向上と価格競争力が最重要課題であると認識しました。

Change 3  売り方を変える
商品ラインアップの拡大
料理人とタイアップした商品開発
有限会社福相食品工業(南相馬市)


支援前の状況・課題
既存販路は地元スーパーや精肉店などの小売店で、低単価商品を製造していました。既存の自社商品やOEM生産を通して技術力は確立していました。しかし、新しい市場へ取り組みたいという意欲があるものの、どのように実施すべきか悩んでいました。

支援内容
著名なイタリアンシェフを専門家に迎え、そのノウハウと、自社の食肉の腸詰め加工技術を結合させた新規開発に乗り出しました。

結果
高単価の「ジビエソーセージ」を新規開発しました。マッチング先の卸会社を通して、これまで販路になかった首都圏のレストランや飲食店に商品を提供できるようになりました。

Change 3  売り方を変える
商品ラインアップの拡大
ワンコイン商品の開発
ニューフロンティア株式会社(田村市)


支援前の状況・課題
平成27年にうなぎの養殖事業を開始、その後養殖技術が向上したことで増産が可能になりました。「あぶくま高原 福うなぎ」のブランド化を目指し、要となる商品の開発に取り組んでいました。

支援内容
助成金の申請、収支計画と生産計画の見直しから、ターゲット設定やパッケージの開発などの支援のもとで商品開発を行いました。発売以降も、いわきや仙台で開かれる水産加工を対象とした商談会に積極的に参加しています。

結果
BtoBからBtoCへの商品として、また田村市の認知度向上のため、うなぎを使ったお土産品を開発しました。さらに在庫ロスを減らし、販路を広げるために、平成31年4月に冷凍食品の新商品「福うなおむすび」を発売しました。県産米を使用し、ワンコインで買っていただける価格設定にしました。また新商品の販売時はテレビ・新聞などで取り上げられ認知度向上につながりました。

Change 3  売り方を変える
小売店とのタイアップの拡大
裏磐梯レイクリゾートとの連携
石井農園(福島市)


支援前の状況・課題
「素材を食べるジャムシリーズ」は、商品に対して一定の評価をいただいていました。ただ、生産量の調整や販売管理面を考えると、そのつど販路を開拓するのではなく、安定した実績を持つ販路先と継続して深いコミニケーションができる関係が必要でした。

支援内容
販路先とコラボレーション商品を開発し、販路先との関係を強化することで、県内販路の獲得を目指すことにしました。そこで、県内有数の販売実績を誇る「裏磐梯レイクリゾート」の物販コーナー責任者に、完成した商品を見てもらってアドバイスをいただき、改良を重ねました。

結果
地域商社によるサポートのもと、各種ジャムを小瓶化しました。また、ディスプレーやPOPなども制作し、裏磐梯レイクリゾートの物販コーナーに棚を獲得しました。販路先との関係強化の一環として対面販売の機会を設定。売り場担当者とのコミュニケーションを深めるとともに、顧客の声を直に聞くこともできました。

Change 3  売り方を変える
小売店とのタイアップ
AKOMEYA TOKYOとの商品共同開発
有限会社荒井農産様(南相馬市)


支援前の状況・課題
ネギの農家として6次化商品の開発・販路開拓に挑戦してきました。昨年度「ネギチリソース」を生産し販路開拓を行い、さらに内容物と味は変えずにリサイズ・リパッケージを行うなどして販路を広げています。今回はコメをテーマにした専門店「AKOMEYA TOKYO」(本社東京・銀座)との共同商品開発に参加しました。

支援内容
AKOMAYA TOKYOは株式会社サザビーリーグの一つのブランドなので、このプロジェクトは他のブランドにも波及する可能性もあります。商品開発のノウハウを習得するために事業者・バイヤー・地域商社が一緒に商品開発を行いました。ネーミング、パッケージ、味、食材の大きさなどの議論に積極的に参加しました。

結果
プロジェクトには他にも2つの支援事業者様が参加、それぞれの商品の特性や特徴を組み合わせて新商品が生まれました。加工は郡山の会社にお願いしたので、生産者3社と加工会社、地域商社が連携した好例となりました。さまざまな立場の人たちと意見交換することで、新たなアイデアも出てきました。また、企業同士のつながりもでき、商品開発の幅が広がりました。

Change 3  売り方を変える
地域内連携
地元産品のギフト商品化
服部米穀店(南相馬市)


支援前の状況・課題
南相馬で米を販売していますが、スーパーや他の米穀店との差別化が難しく、また業務用のニーズが頭打ちのため、新たな収入源の確保を模索していました。リソースや予算も考慮して、売り上げ向上につながる方策が求められました。

支援内容
地域内事業者との連携により新しい商品価値を作り上げ、店頭販売以外でも売り上げ増を目指しました。「米やレトルトカレーをセットにしたギフト商品」など、既存商品である米と相性の良い地域のカレーや、地域の特性を持った商品をそれぞれのメーカーと交渉し、地域内連携でギフトの商品化を行いました。

結果
多くのギフト商品を組み立てて、申込・配達を地元の新聞店が担当するなどコラボレーションを実現し、お歳暮需要の取り込みにも成功し、新規の売り上げを創出しました。

Change 3  売り方を変える
技術の棚卸し
技術の見える化、営業ツールの作成
株式会社サンブライト(田村市)


支援前の状況・課題
カメラの部品を製造しているメーカーですが、市場が飽和し既存市場が縮小していました。そこで、新たな市場へのチャレンジを模索していましたが、どのような方法で新たな顧客を獲得すればよいか分らない状況でした。

支援内容
専門コンサルタントとともに自社の「強み」と「弱み」を分析し文書化することで改善点やセールストークのポイントなどを見つけ出し、営業力の向上を図りました。また、各種検査機関のエビデンスを基に、技術的な優位性を資料化し、他社との差別化を図りました。

結果
「技術の可視化」を顧客の信頼を勝ち取る武器として使用し、技術力と対応力の評価をいただくことで受託に至りました。すぐに量産につながる案件ではないものの、複数回の発注を受けて今後の販路開拓への契機とすることができました。